狭い世界を壊さぬように

今日は名古屋でのサーカス巡業も考えなくもなかったけど、結局断念。
当初の予定とおりに、桜カンナさんご出演の「好村俊子プロデュース<鷹>公演 幽玄の世界への誘い 潤・」昼の部に行ってきました。基本、先に決まったイベントに行くという姿勢。
いつものイベントよりも若干高尚で、三島由紀夫の「近代能楽集」の中から「熊野」、「卒塔婆小町」を演じるというもの。「ライアー」という楽器の演奏もありました。13時30分開場、14時開演。
会場も東京オペラシティの中にある「近江楽堂」という会場。おしゃれ。
最寄駅は初台で、生涯4度目の初台に降り立ったのは、12時30分くらいだったかな。ちなみに今までの3回は初台ドアーズでのイベントでした。
駅から直結でオペラシティに入ると、迷路のような空間でしばしどこに行っていいか分からなくなった。まあ、時間的な余裕があったのでぶらぶらしてると、近江楽堂見つけた。
事前に予約してあったものの、受付で「くらりのふ」って言うの恥ずかしいな。
さて、入場。近江楽堂は、一見教会のような佇まい。卵の中に入ったような印象で、壁から天井にかけて十字の切れ込みが入っていて、そこから自然光(たぶん)が差し込むような作りでした。凝ってるなぁ。
入り口から遠い正面に舞台。それを囲むように椅子が並べられていました。舞台は、奥行き2メートル×幅4メートルくらい。備え付けではなく後から設えたもののよう。楽堂だからね。普段は主に音楽の演奏に使われているものと思われます。
何しろ演劇見慣れないもので、どの位置に座るのがいいものかどうか判断がつかず、促されるままに最前列左側に座る。客層は年配の方も意外に多く、かなり幅広いものでした。
開演。早速カンナさんご出演の「熊野」。熊野と書いてユヤと読むそうです。熊はゆうとも読むから、言われれば不思議もないですが普通には読めないよね。カンナさんはヒロインの熊野役。実業家、宗盛の妾という設定は、やぱアニのエロ担当カンナさんに相応しい?
この熊野が、病床の親を心配して故郷に帰りたいとすがるいじらしい娘の立場から、嘘を吐いて故郷の恋人に逢いに行こうとする性悪女へと転換するワケですが、その演じ分けが難しいんだろうなと思った。事前に原作を読んで鑑賞に臨んだのですが、この転換は知らない方が楽しめたかもしれない。女性不信になる。元からその気はあるが。
カンナさんは、劇序盤の宗盛の長セリフ中の沈黙の中の憂い顔が美しく。聖女のように親を心配する様にうっかりほだされそうになりながら、嘘がバレた後の言い訳の見苦しさ、ラスト宗盛に許されたあと元の鞘に収まることを臆面もなく肯う小狡さ。上手く演じられていたと思います。ボクなど単純なので、うっかりカンナさんのこと嫌いになりそうになったわ。「お母さん!お金をもらったのね。」とか、「あなたはあんなお婆さんの嘘よりも、私の方を信じて下さったのね。」とか。最終的には、度量の広いところを見せた宗盛の方が高感度が高いくらい。
あとは熊野のお母さん役の栗山寿恵子さんに存在感があったな。
次は「ライアー演奏」。てっきりそういうタイトルのお芝居かと思っていたのですが、実際は「ライアー」という楽器の演奏でした。そんな楽器の存在すら知らなかったよ。竪琴と言ったらいいのか、座って腿の上に置き演奏する感じ。余韻が長く続くので、スローな曲にしか向かないと仰ってたのが印象的でした。多くの人が目を閉じてうとうとしてましたが、これはむしろ演奏の巧みさを表すものではないかな。
最後は「卒塔婆小町」。明らかに主演好村俊子さんのワントップ。「もう百年!」のセリフは胸に響きました。休憩時間中にキャストが入り口から入って何となくお芝居が始まっている演出も面白かった。
そもそも「近代能楽集」は、三島由紀夫が能の演目として存在したものを現代風にアレンジしつつ書き直したもので、元々の能の知識があってこそ、そのアレンジの妙を楽しめる気がします。そういう意味で敷居が高かった。でもたまにはこういうのもいいよね。自分の世界が広がった。
その後は、秋葉原に行ってキュアメイドカフェダ・カーポIIIのメニュー食べた。るる姉のおにぎりとさらちゃんのドリンク。キュアメイドカフェ久々に行ったなぁ。