それを高く放り投げて

短い旅程の我らが
いつの間に得たのだろう
愛しく
ゆかしく
かけがえのなく
同化している

はじめからの一つのもの
両手を塞ぐ花束
船速を落とす蛎殻
奴隷の自由を奪う足枷
のように

我らがずっといちばんの
たからものとしてだきしめて
いたものはいつでも
その輝きや滑らかさを失ってしまう

それを頭上に
高く放り投げて
一顧だにしない

自重を少し軽くしてボクは
目を閉じて
だいじなものが硬い地に
叩きつけられて壊れる音を
きいている