詩集の上に
鞄を置いて
詩集を
立ち読む人がいて


詩を読むこころの
汚さを
詩を書くこころの
度し難さを思う


野菜を作るでなく
魚を捕るでなく


ボクらは言葉をただ
きってつなげて
またきりはなして
またつなげただけの
つぎはぎ
をありがたく押しいただいて


慰められたきぶんになって
難問を解けたと勘違いして
どこにも進まず
あるいは進めず
まだ生まれたまんまで
誕生の泥土のなかに立ち尽くしている


たまに歩いたかと思えば
とるにたらない小石に
すぐにつまずくくせに
そのつまずきやすい
萎えた脚の萎えたところをこそ
誇っているのだ